県議会質問

2019年2月14日

 次の項目は、「NHK大河ドラマを活用した本県のスポーツ並びに観光振興について」です。

 ご存知のとおり、今年のNHK大河ドラマは「いだてん」です。主人公は金栗四三氏で、出身地は熊本県玉名郡春富村、いまの和水町(なごみまち)の出身です。

 来年、『2020東京五輪・パラリンピック』を控え、国内ではオリンピックに向けた機運が日に日に高まっているところであり、今回のNHK大河ドラマ「いだてん」も、日本人初のオリンピック出場、日本へのオリンピック招致という話題性もあり、1回目の放映から視聴率も順調に推移しているようです。

 そして、日本人初のオリンピック委員であった柔道家・嘉納治五郎氏らの運動により、日本は1940年の夏季東京オリンピック、札幌冬季オリンピックの招致に成功したものの、激化する「日中戦争」のため、開催権を返上せざるを得ませんでした。ちなみに、「第二次世界大戦」の影響もあり、1940年と1944年にはオリンピックの開催そのものが中止となっています。

 本年のNHK大河ドラマ「いだてん」は、日本のオリンピックの歴史に深い関係をもった人物の登場、関連したトピックスなどもあり、良好な視聴率とともに、熊本県玉名市の「いだてん大河ドラマ館」、そして、主人公・金栗四三氏の出身地である熊本県和水町の「金栗四三ミュージアム」と「金栗四三生家(せいか)記念館」の来館者は、放映開始から1ヶ月で1万43人を超え、地元では目標の入館者数を上方修正しようという機運が高まっています。

 昨年のNHK大河ドラマ「西郷どん」放映の際には、鹿児島市内の「大河ドラマ館」には60万人が訪れており、NHK大河ドラマは観光客誘致に多大な貢献を果たしています。

 今回、熊本県出身の金栗四三氏を主人公にした「いだてん」の放映により、熊本県を訪れる観光客の増加も期待されることから、本県としてもこの機を逃さず、熊本県を訪れた観光客に福岡県にも立ち寄って頂き、お隣の大牟田市では「明治日本の産業革命遺産」の構成資産である、宮原坑、三池炭鉱専用鉄道敷跡、三池港、そして柳川市や太宰府市など本県内の各地の観光地を巡って頂きたいと思います。

 そこで、本県の観光振興に関し、以下、知事にお伺いします。
 熊本県を訪れた方々に、あわせて本県を訪問してもらうような取り組み、仕掛けが必要と思いますが、知事の考えをお示しください。

【知事答弁】
 NHK大河ドラマの「いだてん」の主人公でいらっしゃいます金栗四三さんでございますけれども、熊本県北部にあります玉名郡和水町の御出身であります。「金栗四三生家記念館」、「金栗四三ミュージアム」など関係施設が同地にはございますことから、今後も、この地域には多くの観光客が訪れるということが予想されております。
 その際、観光客の多くは、私どもの福岡空港や博多駅などから、新幹線や高速道路を利用して、本県経由で熊本の方に入られることが見込まれるわけであります。
 このため、大河ドラマと関連のある地域と本県の観光地をつなぐ広域観光周遊ルートというものを作って、県の観光ホームページであります「クロスロードふくおか」で情報発信を行いますとともに、東京・大阪などで開催されます観光素材説明会におきまして、旅行商品として造成してもらえるよう旅行会社に対して提案するなど、本県への誘客、これに取り組んでまいります。


 さて、毎年12月に福岡市で開催され、世界トップレベルのアスリートが集う『福岡国際マラソン』ですが、「日本のマラソンの父」と言われた金栗四三氏の功績をたたえる「金栗賞『朝日マラソン』」として、1947年12月に第1回大会が金栗氏の地元熊本市で開催されたのを発祥としています。

 そして、第2回以降1954年までは、毎年、開催地が変えられていましたが、第9回大会から『朝日国際マラソン』と名称を変え、第13回大会以降、開催地が福岡市に定着し、『福岡国際マラソン』となったものであり、『福岡国際マラソン』は金栗四三氏と深い縁にあります。

 そこで知事に質問です。
 いま述べましたように、『福岡国際マラソン』は、大河ドラマ「いだてん」の主人公である金栗四三氏をたたえ、1947年12月の「朝日マラソン」を起源としています。
 
 『福岡国際マラソン』のコース周辺にある「舞鶴公園」や「大濠公園」、「福岡タワー」や百道浜などには、国内外から多くの観光客が訪れています。

 今後、NHKの番組内等で『福岡国際マラソン』とこれらの観光スポットを一緒に取り上げてもらうことで、全国に福岡の観光をPRすることができ、さらなる誘客につながると考えますが、知事の考えをお聞きします。

【知事答弁】
 「福岡国際マラソン」は、議員がご指摘になりましたとおり、大河ドラマの主人公であります金栗四三さんの功績を称える「金栗賞朝日マラソン」がその前身となっております。そのマラソンコースであります博多駅前には、金栗四三さんが揮毫されている「体力、氣力、努力」といった石碑、また、福岡国際マラソン歴代優勝者の足形や名前を刻んだレリーフというものがございます。
 大河ドラマで金栗四三さんが注目されるこの機会をとらえまして、NHKの番組等におきまして、「福岡国際マラソン」や先ほど申し上げました博多駅の石碑などを取り上げてもらうとともに、「福岡国際マラソン」の中継やマラソンに関連する記事などにおきましても、石碑をはじめとする福岡の観光スポットを取り上げてもらえるよう関係者に働きかけを行ってまいります。


 つぎに、「スポーツ立県福岡」をめざす本県のスポーツ振興についてお伺いします。

 日本人初のオリンピックメダリストは、1920年「アントワープオリンピック」に男子テニスで出場した熊谷一弥(くまがいいちや)氏であり、本県大牟田市の出身です。日本人初のオリンピックメダリストが福岡県人であったという事は、本県の誇りであります。

 しかし、残念ながらこの事実は、広く知られていないようであります。
 そこで、日本人初のオリンピックメダリストが福岡県民であったということを、もっと広く県民に、特に次代の子どもたちに知ってもらうことが必要です。そのことが、県民がスポーツに関心を持ち、ひいてはアスリートの育成にもつながるのではないかと思います。

 本県では、熊谷(くまがい)氏のように、オリンピックメダリストを育成する事業をはじめ、福岡県のスポーツを支え、振興することによって、スポーツを元気にし、そして、そのスポーツの力で県と県民生活をより元気にする「スポーツ立県福岡」の取組みを進めています。
 いよいよ来年には、56年ぶりの国内開催となる「東京オリンピック・パラリンピック」が控えており、わが国のスポーツ振興を図る絶好の機会であるとともに、「スポーツ立県福岡」の実現を目指す本県にとっても大きなチャンスであると思います。

 そこで、この機をとらえ、今こそ県民のスポーツへの関心を高めるべきと考えますが、知事の認識をお示しください。

【知事答弁】
 世界最大のスポーツの祭典でございますオリンピック・パラリンピックの我が国での開催は、東京だけではなく、全国の各地域の魅力を世界に発信をし、スポーツの振興を図る上で大きな機会である、このように考えております。
 このため、本県におきましては、キャンプ地誘致に積極的に取り組んできたわけでございますが、これまで、基本合意を締結した国・地域の数は25ございまして、全国有数のものとなっております。
 また、大会出場を目指すアスリートの育成・支援にも力を入れてきておりまして、数多くのアスリートを国際大会に送り出してきております。
 今後も、ご紹介のありました熊谷一弥(くまがい いちや)さんに続くトップアスリートが本県から継続的に生まれていくよう、中・長期的な視点に立ちまして、育成強化に取り組むとともに、本県ゆかりのアスリートのもつ才能、また、人を惹きつける力、これらを本県のスポーツ振興に活かしていきたいと考えております。
 また、県民の皆様のスポーツや健康づくりに対する関心というものをより一層高めるため、働き盛り・子育て世代を対象としたスポーツプログラムの提供や、障がい者スポーツの振興に取り組んでいくとともに、昨年8月に設置をいたしましたふくおか健康づくり県民会議におきまして、運動習慣の定着に向けた県民運動を、官民を挙げて展開をしているところであります。
 今年、アジアで初めて、日本で開催されるラグビーのワールドカップでは、本県で3試合が行われ、6か国の公認チームのキャンプも予定されております。
 これらの国際スポーツイベントをも見据えまして、昨年12月に改訂をいたしました福岡県スポーツ推進計画に基づく施策というものを着実に推進をしていき、全庁を挙げてスポーツ立県福岡、その実現を目指してまいります。


 以上、知事の真摯な答弁を期待致します。


 最後に、一点、要望です。
 今回の『漁業法』改正により、「漁業調整委員会」の任命制について、特に漁業権の改革と絡んで、沿岸漁業者の意見が反映しにくくなる恐れが指摘されていますが、改正法成立後に具体的な運用を決めるとする部分が多く、現時点では制度設計が明らかにされていないことから、漁業者は不安を抱いています。

 そこで知事に要望です。
 国は、2年以内に政省令の制定もしくはガイドラインを示すとしていますが、「海区漁業調整委員会」制度がどのようになるのか明らかになった段階で、漁業者に速やかに説明されますよう要望します。

 以上、私の一般質問を終わります。