県議会質問

2019年2月14日

 国民民主党・県政クラブ県議団の原中誠志です。発言通告に従い、一般質問を行います。
 始めの項は「漁業法改正に伴う本県漁業の対応について」です。

 昨年末、「第197国会」の会期末が近づく12月8日、水産資源管理の強化や養殖業への企業参入の促進をめざす『改正漁業法』が参議院本会議において、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。運用の仕組みなどを定め、公布から2年以内に施行されます。

 改正案は漁業権の制度を見直すことなどが柱となっており、漁業権制度を含む抜本的な見直しは約70年ぶりとなります。

 国会での審議で、政府は「漁業生産量が長期的に減少し、漁業者の減少・高齢化も進んでいる。こうした状況に終止符を打ち、漁業者が将来展望を持てるようにするため、基本的制度を見直す」とされ、漁業の効率化を通じ経営の改善を図ることを目的とすると説明しています。

 今回の改正案では、漁業権のルールの変更と漁獲量による資源管理の拡大が2本柱となっています。

 1つ目の柱である沿岸海域での漁業権については、これまで漁業者の方が、長年、地元の漁場を守り、養殖を行ってこられましたが、今回の改正で、協同漁業件については変更ないものの、養殖については地元漁業者のみならず、地域内外から新規参入が可能となるルールがつくられました。

 このことについては、「養殖漁業への企業参入が広がり、地元漁業者が狭い漁場に追い込まれる」との懸念や「大手の民間企業が漁業権を取得し、これまで漁業に携わっていた漁業者が締め出されることになる」、ということを心配するような声も耳にするところです。

 2つ目の柱は、資源管理についてです。
 政府が漁獲可能量(TAC:Total Allowable Catch)を決める制度について、現在8魚種に限られている対象を大幅に増やし、マグロなどで現在も実施されている漁船ごとに漁獲枠を割り当てる個別漁獲割当制度(IQ:Individual catch Quota)を基本とするよう改めるというもので、乱獲を防ぎ、価格が高い時期に販売できるようにするというものです。

 衆院での審議でも、漁獲枠をめぐって、現在実施されているクロマグロでは「沿岸漁師が割を食い、その声が反映されていない」と指摘されており、また、船に漁獲枠がついていることから、資金力のある企業などに漁獲枠が集約され、寡占化する可能性も指摘されているところです。

 このほか、遠洋・沖合漁業では漁船のトン数制限を緩和し、漁船の大型化を促して生産性を高める。また、地域の漁場利用の調整を担う「漁業調整委員会」について、公選制から知事による任命制に改めることや、密漁の罰則を強化することも盛り込まれています。

 本県は、筑前海沿岸では沿岸漁業が盛んにおこなわれており、また、博多湾では、カキやノリ、ワカメなどの養殖が行われており、特に、時化(しけ)が多く、沖合での操業が限られる、この冬の時期は、博多湾の漁業者にとって、養殖は重要であります。

 そこで、知事にお尋ねします。今回の漁業法改正により、区画漁業権、いわゆるカキやノリ等の養殖の漁業権制度がどのように変わるのか、お聞かせください。併せて、改正された漁業法において、博多湾のカキ及びノリ、ワカメなどの養殖の漁業権の免許はどこが行うのか、お示しください。

【知事答弁】
 養殖を行います漁業権につきましては、これまで漁協に優先してその免許が与えられる仕組みとなっておりましたけれども、先ほどご指摘のありました今回の漁業法改正によりまして、その優先順位の仕組みというものが、廃止されることになっております。
 しかしながら、免許を受けていた漁協が、漁場を適切かつ有効に活用している場合には、これまでどおり、その漁協に免許が与えられることとなってございます。
 カキ養殖などの漁業権の免許につきましては、これまで同様、県が行うこととなっておりまして、県といたしましては、この新法のもとにおきましても、引き続き、漁場が適切かつ有効に活用されるよう、漁協を指導してまいります。


 さて、本県は、マダイやトラフグ、ガザミなど、全国有数の漁獲量をあげており、1年をとおして魅力ある水産資源に恵まれています。

 街中に目を移してみますと、これら魅力ある水産物が、おいしく味わえる「ふくおかの魚 冬のフェア」や「糸島サワラフェア」など様々なイベントが行われており、「博多のまちは魚がおいしい」と全国的に高い評価を頂いてます。

 これら水産資源は、石油などの鉱物資源が、使えば使うほど減っていく、限りのある資源であることとは大きく異なります。つまり、水産資源は生き物であるため、上手に漁獲をしていけば、継続して利用することができる、限りのない資源であります。
 これからも、水産資源を継続して利用していくためには、県と漁業者が一緒になって、資源づくりを進めていくことが、本県の沿岸漁業にとって重要であると考えます。

 そこで、お尋ねします。県として、沿岸域の資源づくりをどのように進めているのか、お答えください。

【知事答弁】
 水産資源づくりを進めていくには、海域の特徴に合わせまして、資源の保護・管理、またつくり育てる漁業というものを進めていくことが重要であります。
 具体的には、筑前海におきましては、漁獲した小型のトラフグを海に戻すことや、アワビの稚貝を集中的に放流する、有明海では、卵を抱えたガザミを海に戻すこと、保護区の設定などによるアサリの稚貝の保護育成、豊前海におきましては、小型底びき網で獲れる小型のエビやカニを海に戻すこと、また「袋網」を使ったアサリ稚貝の保護育成などに、それぞれ海域ごとに取り組んでいるところであります。
 また、広域に回遊いたしますトラフグ、またガザミにつきましては、近隣県と連携して取組みを進めているところであります。
 加えて、漁場の底質を改善するための覆砂や、魚介類のすみかとなります魚礁の設置などについてもこれを実施しているところであります。
 県といたしましては、今後とも、こうした取組みによりまして、本県の沿岸域の水産資源づくりというものを進めてまいります。